ホームページ制作費用の会計処理 – 経費にできる?減価償却する?

ホームページの制作費用は経費にできる?

ホームページの制作にかかった費用が「10万円未満」なら、即時に全額を経費(必要経費・損金)にできます。「10万円以上」でも基本的には経費として処理しますが、ものによっては減価償却(げんかしょうきゃく)などが必要です。

「10万円未満」なら経費でOK

ホームページの制作費用が「10万円未満」であれば、難しいことは考えず、全額経費として処理できます。その際、帳簿付けの勘定科目としては「広告宣伝費」を用いるのが一般的です。制作会社に委託した場合は「外注工賃」の科目で記帳してもよいでしょう。

ホームページの制作費用 – 基本的な考え方

シンプルなWEBサイト
一般的なホームページなど
複雑なWEBサイト
ネット通販・ECサイトなど
10万円以上 広告宣伝費
【経費】
ソフトウェア
【減価償却】
10万円未満 広告宣伝費
【経費】

ECサイトなどの複雑な機能を備えたウェブサイトは、税務上の「ソフトウェア(無形固定資産)」に該当するので、「減価償却 」という事務処理が必要となります。といっても、10万円以上のときだけですから、制作費が10万円未満なら気にしなくてOKです。

「経費」とは?
一般的に、個人事業の「必要経費」や法人の「損金」をひっくるめて「経費」と呼ぶことがある。所得税や法人税は、稼いだ所得に応じて税額が決まる仕組みとなっており、個人事業なら「売上などの収入 - 必要経費 = 所得」のように計算する。同様に、法人では「益金 - 損金 = 所得」と考える。

ウェブサイトの作成費用が「10万円以上」の場合については、これ以降の解説を参考にしてみてください。「ソフトウェアに該当するorしない」によって、税務上の扱いが大きく異なります。

「ソフトウェア」とは?

ホームページ制作費が10万円以上かかり、次のような「プログラムの作成費用」が含まれる場合は、税務上の「ソフトウェア」に該当すると考えましょう。一般的には、データベースを活用する検索システムなどが当てはまるとされます。

「プログラムの作成費用」にあたる機能(例)

  • ネットショッピング
  • 商品検索、お気に入り登録
  • ログイン、マイページ
  • オンライン予約、自動通知
  • ゲーム

※ 上記はあくまで通例です

上記のような機能が組み込まれていないシンプルなウェブサイトなどで、プログラムの作成費用がかかっていない場合は、ソフトウェアには該当しません。

【経費】シンプルなホームページ

一般的なコーポレートサイト・店舗サイトなどは、ソフトウェアに該当しないケースがほとんどです。したがって、全額を「広告宣伝費」の勘定科目で帳簿付けして、当期の経費にしましょう。

ただし、かなりレアケースですが、20万円以上のホームページを1年以上更新しないことが“確実”である場合は、税務上の「繰延資産(くりのべしさん)」に該当する可能性があります。その場合は、広告宣伝費ではなく「長期前払費用」の勘定科目で記帳します。

シンプルなウェブサイトの制作費 – 経費or繰延資産

1年未満で
更新する可能性あり
1年以上は
一切更新する予定なし
20万円以上 広告宣伝費
【経費】
長期前払費用
【繰延資産】
20万円未満 広告宣伝費
【経費】
「繰延資産(くりのべしさん)」とは?
支出の効果が1年以上に及ぶ費用を「繰延資産」という。たとえば、ホームページを48万円で作成し、向こう2年間(=24ヶ月間)は更新しないことが確実だとする。この場合は「48万円 ÷ 24ヶ月 = 2万円」のように月単位で費用を均等に配分し、HPの作成日から2年間にわたって各期の税務上の経費とする。

といっても、ふつうは1年もあれば、お知らせページなどにちょこっと書き加えるぐらいのことはするでしょうから、あまり気にしなくてOKです。「更新頻度なんて全然決めてないよ」という場合も、広告宣伝費と考えるのが一般的です。

ちなみに、当社の標準的なプランなら、ホームページ制作費は「20万円未満」に収まります。この場合は、更新頻度に関係なく「広告宣伝費」の勘定科目で記帳して構いません。

【減価償却】複雑なホームページ

「プログラムの作成費用」を支払い、複雑なWEBサイトを10万円以上で作ったら、税務上の「ソフトウェア(無形固定資産)」に該当します。主にECサイトなどで、ログインやお買い物カートなどの高度な機能を備えたものを指します。

「ソフトウェア」を取得した際の処理方法は、白色申告と青色申告で以下のように異なります。中小企業・個人事業主の青色申告者のみ「少額減価償却資産の特例」を利用できます。

複雑なウェブサイトの制作費用 – 経費 or 減価償却

白色申告 青色申告
30万円以上 ソフトウェア
【減価償却】
原則5年で償却
ソフトウェア
【減価償却】
原則5年で償却
10万円〜30万円 ソフトウェア
【減価償却】
少数減価償却資産の特例
10万円 広告宣伝費
【経費】
「少額減価償却資産の特例」とは?
青色申告を行う中小企業者であれば、「10万円以上~30万円未満」で取得した固定資産については、通常の減価償却をせずに全額を一度に経費計上できる。これを「少額減価償却資産の特例」という。ただし、このような固定資産を年度内に複数取得した場合、基本的には合計300万円までが上限となる。

通常、ソフトウェアを取得したら資産計上し、5年(= 60ヶ月)で減価償却を行います。たとえば、120万円でECサイトを構築した場合は「120万円 ÷ 60ヶ月 = 2万円」のように計算し、使用開始日から5年間にわたり少しずつ資産から経費へと振り替えます。

引用

ソフトウエアの耐用年数については、その利用目的に応じて次のとおりです。
(1)「複写して販売するための原本」または「研究開発用のもの」:3年
(2)「その他のもの」:5年

タックスアンサーNo.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数 – 国税庁

ちなみに、HP制作費が10万円以上~20万円未満であれば、3年で償却する「一括償却」という特殊な方法も任意で選択できます。この方法は、白色申告・青色申告のどちらでも利用できます。

(参考資料)国税庁Q&A – HP制作費用の取り扱い

以前、ホームページの制作費用について、国税庁のQ&Aページに詳しい説明が掲載されていた時期がありました。しかし、現在このページは削除されており、ほかに具体的な取り扱いが記載されたページは存在しないようです。

本件に関して、当社が独自に国税局へ問い合わせたところ、2022年6月時点の回答では「削除理由については説明しかねるが、基本的な考え方としては以前のQ&Aを参考にして構わない(大意)」とのことでした。

(参考資料)国税庁Q&A – HP制作費用の取り扱い ※現在は削除

国税庁Q&A - ホームページ制作費用の取り扱い(現在は削除されている)

上記スクリーンショットは、2015年9月時点のもの

上記の説明をわかりやすく要約すると、ホームページ制作費の取り扱いは、以下の3パターンで考えればよいとされていたわけです。

損金(必要経費) 頻繁に更新され、プログラム作成費用を含まないもの
繰延資産 更新されないまま使用期間が1年を超えるもの
無形減価償却資産 制作費用のうちプログラムの作成費用に相当する金額

このページは現在削除されているため、上記の内容を鵜呑みにはできません。とはいえ、減価償却のルールなどは当時から特に変わっていませんから、基本的には上記Q&Aを念頭に置いて処理するのが無難でしょう。

まとめ – ホームページ制作費用の会計処理

税務上、10万円未満のホームページ制作費用は、全額を「広告宣伝費」として当期の経費(必要経費・損金)にできます。10万円以上の場合は、下表にしたがって処理するとよいでしょう。

ホームページの制作費用 – 処理方法のまとめ

シンプルなWEBサイト 複雑なWEBサイト
30万円~ 広告宣伝費
(ただし、繰延資産を除く)
ソフトウェア
20万円~30万円 ソフトウェア
(青色申告なら経費にできる)
10万円~20万円 広告宣伝費
~10万円 広告宣伝費

一般的なコーポレートサイトや店舗サイトのほとんどは、上表の「シンプルなWEBサイト」に該当します。1年未満で更新するなら、数十万円の高額な制作費についても「広告宣伝費」の勘定科目で経費計上して差し支えないでしょう。

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